<統合失調症>脳に未成熟な領域 マウスで確認 治療法期待

2008年9月11日2時6分配信 毎日新聞

 統合失調症に似た異常行動を示すマウスの脳の中に未成熟な領域があることを、宮川剛・藤田保健衛生大教授(神経科学)らが発見した。死亡したヒトの脳の研究でも同様の傾向がみられ、統合失調症の客観的な診断や治療法開発につながると期待される。11日、英国のオンライン科学誌「モレキュラー・ブレイン」に発表する。

 宮川教授らはさまざまな遺伝子を欠損させたマウスの行動を網羅的に調べ、CaMK2αと呼ばれる酵素を欠いたマウスが「気分の波」など統合失調症に似た異常行動を起こすことを見つけた。

 この酵素を欠くマウスは、記憶をつかさどる海馬の「歯状回」という領域の神経細胞が未成熟で、ほとんど機能していない。死亡したヒトの脳を調べた米国のデータベースによれば、統合失調症の患者は、歯状回の成熟した神経細胞を示す分子が少ない傾向にある。

 宮川教授は「ヒトの統合失調症の一部は海馬の歯状回の未成熟が原因の可能性がある。成熟を促すことができれば治療法として有望だ」と話す。【西川拓】



統合失調症の脳内未成熟発見 予防・治療に道 藤田保健衛生大研究グループ

2008年9月11日8時34分配信 産経新聞

 統合失調症患者の脳には、発達が未成熟な部位があることを、藤田保健衛生大総合医科学研究所の宮川剛教授らの共同研究グループが、マウス実験で明らかにした。予防や治療への応用が期待でき、11日付の英科学誌「モレキュラー ブレイン」(電子版)で発表した。
 宮川教授らは、特定の遺伝子の機能を失わせた「ノックアウトマウス」で、記憶力の低下など、統合失調症と似た症状を持つマウスを作成。脳を調べたところ、記憶や情緒などをつかさどり、新たな神経細胞を生み出す「海馬・歯状回」が未成熟な細胞で満たされ、機能不全を起こしていた。
 この結果をもとに、統合失調症患者の死後の脳を遺伝子分析したところ、20人中18人で、海馬・歯状回が未成熟状態にあることがわかった。成人の脳に未成熟な部位があることは、従来知られていなかった。
 神経細胞を成熟化させる酵素の活性化で、海馬・歯状回の機能を正常化できるといい、宮川教授は「統合失調症の原因は複数あるが、その一部について予防や治療の道筋がはっきり見えた」と話している。



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